No.78 保存車現況報告in緑木 2013(14.11.16掲載)

緑木検車場内の市電保存館では6両が屋内に展示されており、毎年11月に開かれる市営交通フェスティバルの際に一般公開が行われています.

さらに2013年は市営交通110周年を迎えることもあって、その記念事業の一環として4月21・28日と5月12・19日の4日間にわたって市電保存館の特別公開が実施されました.

昨秋に続く今回の現況報告では市電最後の新製車両となった3001形3050号車を中心に、戦災を経たのち復元工事を行い保存車に選定された501形528号車と11形30号車の3両を紹介します.

市電保存館に保存されている3001形の3050号車です.保存車となった3050号車は市電のラストナンバー車として1956年に製造され、市電全廃まで一貫として都島車庫に配属.市電唯一の高性能車両という特徴から1両が保存車として大阪市交の手元に残ることになり、3050号車が市電保存館の展示車両となっています.
13.04.21 / 緑木検車場

3050号車に取り付けられている台車です.車両の高性能化に伴い台車のほうも静粛性や乗り心地の向上を目指したものとなっており、一部車両が鹿児島市交に譲渡された際にはこの台車もともに渡るなどしましたが、3001形の高性能が当時の路面電車としては過剰装備な面もあったことから車体・台車とも現存しておらず、一般公開されている車両としては3050号車が唯一の保存例となっています.
13.04.21 / 緑木検車場

側面に取り付けられている方向幕です.方向幕のほうは前面・側面ともに1993年の移転再開設の際に新製されたレプリカのものが取り付けられている関係上、書体のほうが現役当時とは大きく異なっているほか、コマ数のほうも全幕完全再現とはなっていないため、側面幕については14号系統(現在の市バス110号系統)の表示で固定されています.
13.04.21 / 緑木検車場

3050号車の車内です.経年の浅い3050号車は保存状況が良く、少しずつ老朽化が進み車内に立ち入ることができなくなった保存車も出てくるなかで、2013年春に特別公開された際も座席に座ることができるなど、良好な車体状態が保たれています.また、車内のほうは市電全廃当時の姿を留めており、市電全廃時に取り付けられていた広告も一部残されています.
13.04.21 / 緑木検車場

3050号車に取り付けられているつり革です.こちらのほうも現役当時のものがそのまま取り付けられていますが、もっとも破損のしやすい保存箇所であることを考慮されてか、つり革に関しては車内に立ち入ることのできる他の保存車と同じくぶらさがることができなくなっています.
13.04.21 / 緑木検車場

3050号車に取り付けられている窓のカーテンです.車両のカーテンについても保存に合わせて引き出すことができなくなることが多いなかでも、3050号車については現役当時と同じくカーテンの引き出しが可能となっており、窓枠のフックにひっかけることで往時の姿をしのぶことができるようになっています.
13.04.21 / 緑木検車場

3050号車の運転台付近の様子です.市電最後の新製形式ということで運転台のほうも現行の車両に近い姿をしているほか、保存館の車両としては唯一の搭載となるスピードメーターもそのまま残され、マスコンやブレーキレバーも手動で動かすことのできる状態で保存されています.
13.04.21 / 緑木検車場

3050号車と同じく市電保存館にて余生を送る501形の528号車です.528号車は1911年に製造されが行われて戦災の際にも被災を免れ、1951年の廃車後も解体されることなく車庫に保管され続け、市電全廃による保存館設置の際に保存車として選ばれた際に行われた復元工事を経て、1968年に製造当時の姿を取り戻しました.その後は他の車両とともに保存館に展示・保存が行われていますが、車齢が100年近くに達して老朽化が激しくなったために、2009年以降は車内の立ち入りが制限されています.
13.04.21 / 緑木検車場

528号車の台車です.取り付けられているのは大小の車輪を組み合わせたブリル社(1944年廃業)製の木造2軸ボギー台車で、新製当初から一貫してこの台車を装備しており、車体とともに貴重な産業資料となっています.
13.04.21 / 緑木検車場

528号車の運転台付近の様子です.古い車両ということもあってスピードメーターの取り付けはなく、計器類はブレーキの圧力計のみとなっています.また、直接触ることはできないもののマスコンとブレーキレバーも残されているほか、当時の路面電車では標準的な装備だった手動ブレーキ用のハンドルも取り付けられた状態で保存されています.
13.04.21 / 緑木検車場

市電保存館にて展示されている11形の30号車です.30号車は1912年に285号車として製造され、1937年に廃車された後は鶴町車庫にて解体保留車として保存.現役で稼働していた11形の多くが戦災による被害を受けるなかで戦禍を免れたのち、1958年に11形初期車の原型に復元されました.この際、車番が復元前の285号車から復元工事が開始された1955年に因んだ30号車に改番され、市電全廃後は市電保存館内で保存されていますが、老朽化の進行に伴い2008年の一般公開時より車内の立ち入り制限が行われています.
13.04.21 / 緑木検車場

30号車の台車です.528号車に続いてブリル社製の台車が装備されているますが30号車については2軸単台車が採用されており、大阪市交以外にも各所で同型の台車が保存されているほか、函館市交や土佐電鉄では同型台車を装備した車両が2013年現在も現役で稼働しています.
13.04.21 / 緑木検車場

30号車の運転台付近の様子です.空気ブレーキが採用される前の型式だったこともあって運転台周辺には計器類は一切なく、マスコンと手動ブレーキ用のハンドルのみとシンプルな形状をしています.さらに、ブレーキハンドルの周囲に発車ベル用の紐がくくり付けられており、車内の立ち入りが制限された現在も運転台に登ってベルを鳴らすことが可能となっています.
13.04.21 / 緑木検車場

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